夜に

夜に

一日が終わるころには、顔は脂っぽくなり、髪も乱れ、ひげもまた伸びてきている。

家族がみんな身支度を終えて眠りにつくと、ひとり書斎にこもる。

スタンドライトの薄暗い灯り。

イヤホンからは、聴き慣れた古い歌が流れている。

熱いお茶を淹れ、紙の上でぼんやりと手を動かしている。

いろんな思いが、浮かんでは消え、消えてはまた戻ってくる。

気づけば、外では雨が降り始めていた。

雨粒がぽつぽつと窓ガラスを叩く。

その音のせいか、部屋の中はかえって静かだった。

ふと顔を上げると、空はもう少し白み始めていた。

目を落とすと、紙の上には、いつの間にか、たどたどしい文字で、いくつかの歌詞が残されていた。

 いつの日か 雨音が君の窓を叩き

 風の音が 君の思いをかき乱すとき

 ——ふと、この古い面影を

 思い出したりするだろうか